心臓リハビリテーション
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心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションNEWS 第15号

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心臓リハビリテーションとは

心臓リハビリテーションと聞くと、「心臓が悪いのになんでリハビリするの?」と思われる方も多いと思います。
当然のことながら、心臓の働きが低下していますので、無理に運動をすることはできません。
しかし、長時間安静にしていると、むしろ心臓の機能は低下してしまい、さらに全身の筋力も衰えて、ますます動くことができなくなります。
心臓リハビリテーションでは、専門のスタッフと機器を用いて、運動時の心臓の動きを確認しながら、その人に合った適切な運動強度と運動時間を設定した上で運動療法を実施します。
同時に、正しい心臓の知識と適切な生活指導を行うことで、再び心臓病にかからないように学習していきます。
運動療法と心臓病の学習、生活指導(食事指導・薬剤指導・禁煙指導など)を組み合わせて、社会復帰と心肺機能の予防を目的とすることが心臓リハビリテーションです。
心臓リハビリテーション解説

心臓リハビリテーションの効果

訓練を継続することによって、次のような効果が期待できます。

  1. 運動することによって、酸素の取り込みがよくなる。
  2. 運動能力が増加することによって、楽に動けるようになる。
  3. 気持ちよい汗をかくことによって、不安やうつから解放される。
  4. 狭心症や心不全の症状が軽くなる。
  5. 生活習慣病の危険因子(血圧、血糖値など)がよくなる。
  6. 血管内皮機能(血管が自分で広がる能力)がよくなり血液の循環がよくなる。
  7. 自律神経のバランスや働きがよくなることによって、血圧や脈拍が安定し、不整脈が起きにくくなる。
  8. 血液凝固因子が安定し、血栓ができにくくなる。
  9. 心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少する(三年間で約25%低下)。
  10. 心不全の死亡率や再入院率が減少する。

心臓リハビリテーションは死亡率を56%減少させ、再発を28%減らすとされています。

心臓リハビリテーションの適応疾患

  • 急性心筋梗塞・狭心症
  • 心臓手術後(冠動脈バイパス術・弁置換術等)
  • 軽症~中程度の心不全
  • 閉塞性動脈硬化症

心臓リハビリテーションの流れ

急性期

発症・手術から間もない時期には、急性期合併症の監視や治療に注意が必要で、血液検査や画像診断、胸の痛みや息切れなどの症状が悪化していないことを確認しながら、段階的に離床活動をすすめます。心理的なサポートやリハビリの動機づけいった精神的なサポートも重要です。
急性期心臓リハビリの目標は食事・排泄・入浴などの身の回りの事を安全に行うことが出来るようになる事です。

回復期

回復期の心臓リハビリでは包括的なリハビリテーションとして、医学的評価、運動療法、禁煙教育、食事療法・冠危険因子の適切な治療、復職指導・心理的サポートを行います。
具体的な運動療法としてはトイレなどで歩くことが心臓に負担なく行える状態になると、準備体操を行ったうえで適切な有酸素運動の強度を確認して、自転車こぎやウォーキングを行い、同時に手足の筋力トレーニングを行うことで心臓の負担を減らします。運動後は整理体操で心臓への負担にならないよう行っていきます。
安静が長期化し筋力低下や認知機能低下を起こし、立ったり歩いたりするのが不安定な場合は、筋力・身の回り動作の回復を中心とした運動療法を行い等、個別的に運動プログラムを立案していきます。
心臓や手術後の状態が安定していることを確認し、社会生活への復帰(退院)となります。生活での注意点や有酸素運動の継続に、一人一人に合った自主練習を説明します。

回復期~維持期

回復期で獲得した運動能力・生活習慣の是正・冠危険因子の是正を維持する、患者様やその家族による健康管理が中心となります。心臓リハビリでは個々の生活レベルに合ったプログラムを提供します。
病状が安定していても、薬物療法と同じくらい有酸素運動や手足の筋力トレーニングの継続することが再発や合併症の予防に繋がります。また適切な運動の継続は健康寿命を延ばす効果があります。

外来心臓リハビリテーションについて

当院では退院後に外来での心臓リハビリテーションを行っており、毎回のメディカルチェックと循環器医の診察、運動処方に基づく運動療法、生活指導、定期的な栄養指導を提供する体制になっています。

外来心臓リハビリテーション実施表

10:00~11:00
11:00~12:00
心臓リハビリテーションお問い合わせ

電話番号 : 017-762-5500(病院代表)

外来での心臓リハビリテーションは完全予約制です。
ご希望の方はお電話にてご確認お願い致します。

*予約の空き状況によって、希望に添えない場合がありますのでご了承ください。

当院の心臓リハビリテーションの特長

  1. 当院では、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・薬剤師・管理栄養士が多職種で討議し、心臓リハビリテーションを実施する体制をとっております。チーム内の連携を密にし、治療方針を共有することで、その時に一番適切で効果的な心臓リハビリテーションができるように取り組んでいます。

    多職種カンファレンスの風景

  2. 日本心臓リハビリテーション学会に認定された4名の心臓リハビリテーション指導士(医師1名・理学療法士3名)が在籍しており、質の高い科学的な心臓リハビリテーションを追及しています。学術活動も積極的に行っており、研究発表や症例報告を日本心臓リハビリテーション学会を中心に全国各地の学術大会で行っています。

    当院の心臓リハビリテーション指導士

  3. 当院では定期的に心肺運動負荷試験を行っています。心肺運動負荷試験は心電図・血圧・呼吸中の酸素、二酸化炭素の濃度を計測しながら運動(自転車こぎ)をして、心臓に負担をかけずに行える運動量と体力の限界(運動耐容能)を評価する検査です。効果的な運動として心臓に負担をかけずに行える運動量は、検査結果を解析して嫌気代謝閾値(anaerobic threshold ; AT)で分かります。

    ワンポイント!

    人間は酸素を吸って二酸化炭素を吐くという呼吸をしています。軽い運動の場合は取り込んだ酸素の量と吐き出した二酸化炭素の量は同じ割合となります。これを有酸素運動といい、酸素が十分に取り込め心臓に負担のかからない運動です。しかし運動量が増加すると筋肉に乳酸がたまりはじめ、その乳酸を減らそうとするための代謝が加わり、二酸化炭素の吐き出す量が増えてきます。この運動を無酸素運動といい、酸素が不足した心臓に負担のかかる運動です。ATというのはこの有酸素運動と無酸素運動との切り替えの点です。トレーニングしていただく運動量はきつすぎても体に負担となりますし、逆に軽すぎても効果は期待できません。すなわちATは心臓に負担無く、さらに効率よくトレーニングをしていただける運動量と言えます。心肺運動負荷試験の検査データを解析し、ATがどのくらいか、最大どこまでがんばれたか、そして今後の具体的なトレーニング方法等の指導をさせていただきます。

    左:負荷心電図装置(日本光電STS-2100)
    中:自転車エルゴメーター(三菱電機エンジニアリング ストレングスエルゴ8)
    右:呼気ガス分析装置(ミナト医科学AE310S)

    心肺運動負荷試験の検査風景
    (医師・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士が検査データを確認しながら進めています)

  4. 当院ではトレッドミル装置(日本光電エアロミルSTM-2000)を導入し、下肢閉塞性動脈硬化症の患者様に対しガイドラインで有効とされる、中等度の跛行(足の痛み・痺れ)の出る範囲での歩行運動を行っています。この装置は治療の効果判定や運動療法として、歩行の傾斜や速度を調整する事で、患者様に適切な運動負荷を提供する事ができます。

    トレッドミル装置

    トレッドミル訓練実施風景

  5. 心臓リハビリテーションチームには日本高血圧学会・日本循環器予防学会・日本動脈硬化学会から認定された「高血圧循環器病予防療養指導士」が在籍しています。(理学療法士1名・管理栄養士1名)
    患者様自身が再び循環器病にかからないように、循環器病の主たる危険因子である高血圧、喫煙、低い身体活動、高血糖、高い食塩摂取、脂質異常などに関する知識を身につけて頂けるよう療養指導・相談を行っています。入院・外来問わず、生活習慣改善や再発予防のため専門的知識を身に着けることは重要であり、入院病棟では定期的に患者様やご家族様向けに、循環器病予防教室も開催しております。

    病棟での循環器病予防教室の様子

  6. リハビリ強化栄養療法
    運動療法に加え、十分なエネルギーと筋肉を作る材料(たんぱく質、特にアミノ酸)を摂取することで、筋肉量・筋力の大幅な増大効果が期待できます。筋力を強化することは、心臓を守り再発予防ことにもつながります。
    当院では、タンパク質を含んだゼリー飲料を運動後に飲むことで、筋力増強を図り、早期退院につなげる取り組みをしております。
    (腎機能低下など当院の使用規定により実施できない方がございます。)

    運動後のタンパク摂取の様子

医師紹介

心臓リハビリテーション専任医師 内藤 貴之

心臓リハビリテーション専任医師
内藤 貴之

【所属学会】
・日本循環器学会(循環器専門医)
・日本心血管インターベンション治療学会(認定医)
・日本心臓リハビリテーション学会(心臓リハビリテーション指導士)
・日本腎臓リハビリテーション学会
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