医師紹介

全病棟開放医療の目指すところ 名誉院長 西脇巽 にしわきたつみ

認定資格:精神保健指定医・医療監察医
所属学会:日本精神神経学会・犯罪学会・国際啄木学会
出身校:弘前大学

前院長の西脇先生が、全病棟開放医療を始めたと聞きましたが。

精神科の病院ですから、やはり統合失調症の患者さんなども多いんです。それをいかに適切に治療して行くかということに、当時から腐心してきました。
昔の精神病院というのは、ドアには鍵、窓には鉄格子があるというような殺伐としたものでしたが、生協さくら病院はそのイメージを一新して、全病棟開放医療という方針を打ち出し、明るいイメージの病院を先駆けたわけです。
もちろん当初は不安もありました。病院から逃げ出す患者さんは、閉鎖病棟の頃からいましたが、開放にすることによって増えるのではないかと。最初は仕方ないということで追いかけなかったんですが、そしたら患者さんは追いかけて欲しかったんですね。戻って来て「俺がどうなってもいいのか」「冷たい病院だ」などと怒り出すんです。それからは、いなくなったら追いかけようと。そんなことや様々な試行錯誤を繰り返しながら、スタッフ一丸となって全病棟開放医療を続けてきたわけですが、やはり患者さんにとってはいいことですし、それにご家族の方も閉鎖病棟に入れるのは偲びない、可愛そうだとずいぶん悩まれるんですね。その点はやはり明るい雰囲気の開放病棟だと安心していただけるんです。

どうして精神疾患が発病するのでしょうか。

発病する要因を脳に求めるドクターが多いようですが、私は性格やキャラクターにあると考えています。もちろん脳も少なからず関係しているんでしょうけど。
そしてその性格は、幼少期の育てられ方に大きく影響される。だから私は診療の際に、患者さんが何人兄弟の何番目で、親はどんな人で、どんなふうに育てられてきたか、そうした精神分析的なことをかなり聞いてから治療にあたっています。
例えば私は石川啄木が好きで、啄木を研究した本を七冊ほど出版しているんですが、彼の場合は女・女・男・女の三番目として生まれたんです。普通、親は女が生まれると次は男を欲しがる。でも次も女だとがっかりして、3人目だとさらに男を望む。そこへようやく啄木が生まれたものだから、過剰に可愛がりました。そういうことが人格に影響してくるんですね。大事に育てられると自己肯定感が強くなります。自己肯定が強いと、常に「自分の考えは正しい」と思うようになり、妥協しなくなる。考えを曲げない。そういうところから啄木のあの創作への揺るぎない信念が生まれたのでしょうね。また、私は頼まれて刑事事件の際の精神鑑定なども行っているのですが、そういう場合も大体は幼少期からの育てられ方が大きく影響していますね。

患者の心の声に耳をすますことのできる医師であれ

診療の方針などはありますか。

患者さんと遊べる医師であれ。というのが私が自分に課した治療のスタンスでした。患者さんと一緒に歌を歌ったり、将棋や麻雀をしたり、様々なことを通じて患者さんと向き合うようにしてきました。そうすると患者さんの本当の姿が見えてくるんです。本当の姿を知らないと、適切な治療は行えませんから。通り一遍の問診や観察では窺い知れない、ありのままの姿や意外な一面を知ることで、その患者さんに適した本当の治療ができるのではないでしょうか。最近はそういう医師が少ないようですけどね。精神科の医療には、ちゃんと患者さんの生の声が聞ける医師、家族の声を聞ける医師が求められていると思います。

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